とらすと通信

とらすと通信2026年7月号「境界から性教育を考えてみる(2)」

前回は、人にとっての性(セックス)の意義は次の3つではないかということを説明しました。

(1)生殖  (2)娯楽(レジャー) (3)関係の親密化=境界のあいまい化

この中で特に問題となるのは(3)関係の親密化=境界のあいまい化 ということだと思います。

浮気はなぜ「よくない」のか?

現代の日本における社会通念として「浮気」はよくないことだとされています。芸能人などの有名人は、浮気が明るみにでることで、社会的地位を失うこともままあります。

なぜ私たちは浮気が社会的に許容されないことだと考えているのでしょうか。人にとっての性(セックス)の意義が上記の(1)生殖 と(2)娯楽(レジャー)だけであるならば、浮気がそれほど悪いことにはならないでしょう。浮気が社会的に許容されないことだと考えられているのは(3)関係の親密化=境界のあいまい化 という部分が大きいからだと思います。

つまり、人にとって性(セックス)というのは、男女の関係を規定する強い働きをもっているということです。性(セックス)を通じることにより、お互いの境界はきわめてあいまいな(やわらかい)状態になると考えられます。特に現代では、その関係を夫婦というお互いに独占しあう関係に限定することにより、結びつきを強固なものにしているということでしょう。したがって、夫婦以外の人との性(セックス)関係を持つことは、夫婦において独占されている特別な関係を、特別な関係ではないものにしてしまう危険があるわけです。そうなると、お互いの関係がきわめて混乱した状態になってしまいます。

したがって、夫婦がお互いの間だけの性関係を守るということが、夫婦関係を安定的に保つことになるわけです。

性教育において伝えるべきこと(1)

以上のことから、性教育において伝えるべきこととして、次の2つがあるのではないかと思います。

①「性(セックス)はお互いの関係性を強くコントロールするもの」だということ。

②そして、特定のパートナー以外との性(セックス)関係は、パートナーとの関係を危うくし、人間関係をきわめて混乱したものにしてしまうリスクがあるということ。

「浮気は悪」という善悪の思想として教えるよりも、境界の概念から「浮気は人間関係を破壊するきわめてリスクの高い行為」という伝え方の方が事実に即して、説得力があるのではないかと思います。

この①、②は従来性教育においては教えてこられなかった内容ではないかと思いますが、実は人生を送るうえで極めて重要な意味を持っていると思います。今後こういう視点も加えていく必要があるのではないでしょうか。

【次月に続く】