とらすと通信

「参加してよかったと思えるチーム会議を」

チーム援助を行う具体的方法論が「チーム会議」です。チーム会議を実施する際に重要なことの一つは,参加したチームメンバーが「参加してよかった」と思える会議にすることです。

とらすと通信 2019年8月号 「参加してよかったと思えるチーム会議を」

「支援委員会」への不満

校内で各種の「支援委員会」「支援会議」などに参加する機会があります。会議後に個人的にメンバーと話しをしている時に最もよく聞かれる不満は「情報交換だけで終わって具体的援助プランの検討がない。参加してもあまり意義を感じない。」というものです。

メンバーは多忙な校務の合間を時間のやりくりをして参加しています。またメンバーはそれぞれが課題解決のために何らかの手立てを講じたいと考えていますが,具体的にどうすればよいのかが見えないで不安を感じているものです。具体的な援助プランが策定されなければその不安は解消されず「時間のムダだった」という疲労感だけが残り,援助へのモチベーションが低下してしまいます。

ですからチーム会議で具体的な援助プランと役割分担が決定されれば,不安が解消され「会議に参加してよかった」という充実感を感じてもらえますし,それがメンバーのモチベーションの維持にもつながります。

直接の援助者の意見を尊重する

援助プランの検討では,メンバーからいろいろなプランが提案されます。その中で最後にどのプランを実行するかを検討します。その際ポイントの一つとなるのは,「直接の援助者の意見を尊重する」ということです。

例えば他のメンバーが担任の先生に「学級運営に関係するこのプランに取り組んでもらいたい」と考え提案したとします。その際担任の先生がプラン実行に難色を示される場合があります。それはそのプラン実行について何らかの「困難な点」を感じているからです。その「困難な点」は,その時点ではっきり言語化できることもあれば,言語化されないこともあります。言語化できない場合,言語化できないという理由で意見を無視するのではなく,メンバー全員でそのことについて話し合ってみることが必要です。

臨床場面ではそれぞれの援助者がいろいろなことを感じながら援助を行っています。その中には,直接その問題に関わっている援助者でなければ感じ取れない微妙な側面が必ずあります。学級運営に関することで言えば,日常的に学級運営を行っている担任の先生だけが感じ取っている微妙な側面があり,それは必ずしも言語化できるとは限らないということです。

直接の援助者が援助プランに難色を示す場合には,その援助者だけが感じている微妙な側面への齟齬が存在している可能性があります。したがって,最終的にどの援助プランを採用するかを決定する場合には,直接の援助者の意見を尊重することが重要です。これを軽視すると,援助チームの協同関係が崩れ,メンバーのモチベーションも低下することにつながります。