とらすと通信

とらすと通信2026年6月号「境界から性教育を考えてみる(1)」

先月までメルマガによるショート動画を配信していましたが、今月から再度通信を再始動することになりました。引き続きよろしくお願いしたします。

※今回の内容は、先月ショート動画で配信した内容を文章に直したしたものです。

子どもの教育において、性教育は非常に重要な分野です。しかし、大人にとっても話題にしにくい部分があるのも事実です。

現在学校教育において、さまざまな形で性教育が実施されていますが、今回から、「心理的境界」の概念から性教育をどう展開するべきかについて考察していきたいと思います。

ヒトにとっての性(セックス)の意義

我々人間にとって性(セックス)というのは非常に不思議なものでもあり、一方やっかいな側面を多く含んでいるものでもあります。それは性(セックス)というものの意義が多様であるということからきているのではないかと思います。

ヒトにとっても性(セックス)の意義は大きく3つあると考えます。

(1)生殖

これは言うまでもなく、すべての生物にとっての性(セックス)の大きな意義です。つまり子孫を残すということです。

(2)娯楽(レジャー)

この点は、他の生物ではあまり比重の高くない側面ではないでしょうか。人は性(セックス)をいわば「楽しみ」として営むという側面があります。単に「生殖」という意義だけであるならば、これだけ性(セックス)にまつわる産業が氾濫している理由は説明できません。

そして、他の動物では、この側面はあまり重要ではなさそうです。第一に、ほとんど動物は発情期があり、特定の時期にしか性(セックス)が営まれません。しかも、行為中は外敵に襲われる危険も非常に高くなるため、きわめて短時間で終わるのがほとんどです。

唯一例外なのは、ボノボと呼ばれる類人猿(チンパンジーの近縁種)だけではないかと思います。ボノボの性行動は非常に特徴的であり、またヒトとも異なる部分が多々ありますが、興味がある方は調べてください。

(3)関係の親密化=境界のあいまい化

そして、この点が指摘されることが比較的少ない側面だと思います。同時に、誰しも無意識に強く認識している側面だと思います。

つまり、「性(セックス)によって心理的境界がきわめて柔らかい状態(あいまいな状態)になる」ということです。おそらく性(セックス)の対象となった人は、心理的には「この世界で最も身近な」になるのではないでしょうか。

そのことにより、他人である配偶者とのきわめて親密な関係が形成されるものと思われます。元の親子よりも親密な関係です。
つまり、性(セックス)によって、対人関係が大きくコントロールされるということです。

【次月に続く】