スキル向上により資源は増大します。その特徴は「一般に一度身についたスキルは持続的に高い資源として機能する」ということです。
とらすと通信 2018年7月号 「資源の増減-スキル向上により永続的な資源増大を図る-」
人が生活していくためには,仕事や人間関係だけでなく,あらゆる場面でスキルが必要です。人は誕生以来,「ハイハイのしかた」「立ち方」「歩き方」から始まり,「お箸の使い方」「人とのつきあい方」「仕事のスキル」「家事のスキル」「子育てのスキル」と,あらゆる場面でスキルの訓練を行い,身につけていきます。そういう意味で「発達とはスキル習得の過程である」ともいえます。
スキルの向上による資源の増大
大人にとってスキルの向上とは,仕事・家事・人間関係などに必要な能力を増大させることです。資源とは「能力」と「時間」ですから,スキル向上はすなわち資源増大です。スキルが向上すれば,対応すべき事柄により楽に対応することができるようになります。つまり資源の浪費を押さえることが可能になります。
スキル向上は永続的な資源増大をもたらす
睡眠をとれば体力という資源が増大しますが,労働すれば体力という資源は再び減少します。これに対し,一旦自転車の乗り方のスキルを習得すると,その後は無理なく自転車に乗ることが可能になります。そのスキルが低下することは特別な場合を除くとありません。このようにスキル向上による資源増大の最大の特徴は「一般に一度身についたスキルは持続的に高い資源として機能する」ということです。そういう意味で,あらゆる場面で必要なスキル向上は,その人にとっての一生の財産となります。資源の増大を図る場合にこれは非常に大きなポイントです。
スキル向上に取り組むために
しかし,なかなかスキル向上に取り組む意欲が生じないという現実もあります。それは,スキル習得の過程において当然ながら「時間・お金・体力」といった資源が必要になるからです。取り組むにはそれなりの覚悟も必要になりますし,ある程度の資源の余裕も必要です。しかし,それを理由にスキル習得の機会を回避していると,いつまでもスキル向上が望めないのも事実です。現在の自分の資源状態(お金,時間,体力)も考慮しつつ,少しずつでも工夫しながらスキル向上に取り組んでいくことが重要ではないでしょうか。