とらすと通信

援助資源マップ ー 援助資源

援助資源マップは、子どもの自己資源と援助資源の状態を図式化したものです。今回は子どもをとりまく援助資源について検討してみたいと思います。

とらすと通信2021年12月号「援助資源マップ  ―  援助資源」

子どもをとりまく援助資源

子どもをとりまく援助資源は、現段階での子どもに影響を与えている環境と言ってよいでしょう。子どもの生活から考えるとその要素としては「家族資源」「学校資源」「(家族・学校以外の)社会資源」の大きく3つに大別できると思います。

家族資源

言うまでもなく、子どもを支える資源として最も重要かつ大きな力となるのは家族です。特に情緒的な安定に大きく寄与します。同時に母親や父親といった大人が子どもの成長過程におけるロールモデルになります。親子で一緒に生活していることが自然に子どもの成長の重要な資源となっていきます。

また、家族資源の状態を分析するためには、家族心理学の知見が有効ですが、このことについてはまた別の機会に触れたいと思っています。

学校資源

学校の機能は知的発達を促すこと、コミュニケーション能力の発達を促すこと、集団生活における生き方を習得させることなど多岐にわたると思います。具体的には学習の状況、先生や友だちとの人間関係の状態などが資源状態としての分析の対象となると思います。場面としては、ホームルーム、教科学習や特別活動などの時間、放課後の部活動の時間などがあります。これらの資源状態の分析は学校の先生方の専門領域であり、「観察」「面接」に加えてアンケートや心理検査などの「調査」も併用して行う必要があると思います。

社会資源

学校には部活動がありますが、学校外の社会体育などに所属している場合もあるでしょう。スポーツだけではなく、各種の習い事や塾などもあります。心身の不調がある場合には医療機関や相談機関が支援に入っている場合もあります。直接子どもへの支援ではなくても、家族の経済的な課題などについての公的支援もあります。間接的ではありますが、家族を支えることで子どもへの大きな支えになります。スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーなどは、現在は学校教育の一部に位置づけられつつありますので、学校資源に入れてもいいかもしれませんが、学校組織外の支援者という意味では社会資源の一部と考えてよいかもしれません。

援助資源の総合的アセスメント

子どもを取り巻く主な援助資源は以上の3つと考えてよいと思います。これらのそれぞれの部分について資源状態を分析し、マイナスの部分は極力プラスになるように、プラスの部分は維持・強化できるように援助プランを立てていくことになります。

このように、援助資源の種類を分類しておくことの意義は、アセスメントを総合的に行いやすくなることにあります。人間の思考の特性として、ある部分が目に入ると他の部分が目に入りにくくなるという点があります。例えば、「学級での友達関係の課題」が目に入ってくると学習上の課題や家族資源・社会資源の課題が視野に入らなくなりがちです。しかし実際には「家族関係における課題」や「学習の遅れへのいらだち」があり、それで一時的に情緒不安定になって友達につらく当たってしまっている」ということもあります。したがって、最初からある程度援助資源の分類をしておき、それぞれのパートでの課題をアセスメントすることは非常に重要だと考えます。