とらすと通信

「チーム会議」

資源調整アプローチに基づき,学校において子どもの支援に実際に取り組むとき,有効な方法論となるのがチーム援助です。チーム援助は「チーム会議」を中心に展開します。

とらすと通信 2019年7月号 「チーム会議」

チーム会議の意義

チーム援助を実行する際の方法論の中核となるのがチーム会議です。チーム会議は,援助チームによる小規模なケース会議(支援会議)です。

前回書きましたように,援助チームは教育相談コーディネーター,担任,養護教諭,学年主任,管理職などから選定された3名~5名ほどで編成します。それぞれのメンバーがそれぞれの立場で援助を行いますが,目標や取り組みの方法について共通認識ができておらず,ばらばらに取組んでいるために今一つ効果が発揮できないケースが多々見られます。そこで,目標や取組みの方向についての共通認識を形成するために行うのがチーム会議です。

チーム会議は援助を行っている期間中,ケースに応じて定期・不定期に開催します。

チーム会議の進め方

基本的に次の流れで進めます。①情報集約→②アセスメント→③目標設定→④援助プランの検討→⑤役割分担。2回目以降も基本的には同じですが,最初に前回の会議で決まった取組みの結果についてフィードバックを行います。

①情報集約:チームのメンバーが把握している情報についてそれぞれ情報を出し合います。それぞれの立場からできるだけ多面的な情報を出し合い集約することが重要です。

②アセスメント:集約された情報からアセスメントを行います。アセスメントについては,とらすと通信の2019年3月~4月の記事に記載していますのでご覧ください。

③目標設定:アセスメントに基づき,現段階で何を目標とするかを検討します。不登校の場合など,学校としては「まず本人の登校」を目標にしがちですが,うつ状態などの場合には,まずうつ状態の回復を優先すべきです。生活リズムの回復や家庭で楽しみを見つけて生活させることなどを目標にした方がよい場合があります。

④援助プランの検討:「援助資源マップ」などをもとに,学校・家庭のそれぞれの場でどんな援助が可能かを検討します。まずはできるだけたくさん援助プランを考え,次に現段階で実行しやすいプランから実行していくことを考えます。

⑤役割分担:策定したいくつかの援助プランについて,メンバーの「誰が・いつまでに」実行するかを検討します。メンバー内で実行できない場合にはメンバー外の誰に依頼をするかを検討します。

以上の内容を最大でも1時間以内で終了させる必要があります。多忙な学校現場の現状を考えると,1回目は少し時間がかかったとしても,2回目以降はできれば30分以内で終わらせることを目標にした方がよいかもしれません。