とらすと通信

「チーム援助」

資源調整アプローチに基づき,学校において子どもの支援に実際に取り組むとき,有効な方法論となるのがチーム援助です。
 

とらすと通信 2019年6月号 「チーム援助」

チーム援助と資源調整アプローチ

チーム援助は研究者の立場からは石隈利紀先生や栗原慎二先生といった方々が提唱されている方法論です。参考文献の一部を挙げておきますので,詳細は以下をご覧ください。

「石隈・田村式援助シートによる チーム援助入門―学校心理学・実践編」石隈利紀・田村節子著,図書文化社,2003年。
「新しい学校教育相談の在り方と進め方―教育相談係の役割と活動」栗原慎二著,ほんの森出版,2002年。

資源調整アプローチは,本人と本人を取り巻く人々の持っている資源を分析し,その資源が最大限に機能するように調整を行うものです。したがって,支援を行うには多くの人との協同が前提になります。そういう意味で,チームを組んで特定の子どもを支援するチーム援助の考え方は,資源調整アプローチの方法論に非常によくマッチします。資源調整アプローチを行うにはチーム援助が欠かせないといっても過言ではありません。

チーム援助のメンバー

まず特定の子どもを支援するチームを編成します。メンバーは,担任,教育相談担当者,特別支援教育コーディネーター,養護教諭,学年主任,管理職,保護者,SC(スクールカウンセラー),SSW(スクールソーシャルワーカー)などです。

人数は3人~6人程度が適当だと思います。私自身の経験から,2人だと話し合いの際に視点が広がりにくい傾向があります。あまり大人数だと意見が特定のメンバーに偏りやすく,また多様な意見が出るため方針をまとめるのが難しくなる傾向があります。

学校関係者だけでチームを編成した方がよいのか,保護者やSCなどの外部の関係者も加えた方がよいのかは,そのケースの実態に合わせて決定されるとよいかと思います。機動性を考えると学校関係者だけでチーム編成をした方が,何かあったときにすぐ話し合いができるなどの利点があります。一方,保護者もチームに巻き込んでおくことで当然ながら家庭の協力は得やすくなるでしょう。また,いじめなどの問題では,重大事態の予防という観点からも教頭先生など管理職の先生も入っていただいた方がよいということもあります。SCやSSWなどの心理・福祉の専門家に入ってもらうことで,そういう側面からの専門的意見を反映させることが可能になります。

来月以降引き続きチーム援助について書いていきたいと思います。